はなうたレビュー11:大野えり(vo) “Dialogue” 発売記念東北ツアー

この記事は大野えり “Dialogue” 発売記念東北ツアーのレビューです。

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ヴォーカリストの大野えりさんとピアニストの若井優也さんによるDUO。まず驚いたのは、二人の息がピッタリだったことだ。ドラムやベースといったリズム隊がいない中でも、二人のタイミングは気持ちの良いほど合っていた。ヴォーカルが優しく歌い上げるとピアノはそれを引き立てるような美しい旋律を奏で、またヴォーカルの歌声が力強くなるとそれに呼応するかのようにピアノもダイナミックな演奏を聴かせた。「以心伝心」という言葉はこの二人のためにあるのではないかとさえ感じた。

大野えりさんのヴォーカルは、まるでひとつの楽器のようだった。高い声から低い声、繊細な声から力強い声、とまさに変幻自在で、しかも然るべきところで声を使い分ける。まさにプロ中のプロだった。もちろん大野さんの魅力はそれだけではない。ライヴの最初から最後まで、一切の手抜きを感じなかった。感情を込め、手振りや目線、表情などあらゆる手段を使って日本語ではない歌詞の内容を聞き手にわかっもらえるような気配りも見受けられた。本当に素晴らしいヴォーカリストである。

若井優也さんはヴォーカルを最大限に引き立てることができる素晴らしいピアニストだった。テンポ感が出ていて、ベースラインもしっかりしている。言うならばピアノ、ベース、ドラムの3つを同時に演奏しているようだった。ヴォーカルが盛り上がればそれに呼応して伴奏も盛り上がる。でも決して歌声を潰すほど激しく演奏することはない。ヴォーカルの魅力を最大限に引き出すことを考えているからこそできる演奏なのだろう。ピアノの音色も最高だった。特にバラード曲の伴奏は、ピアノが泣いているのではないかとさえ感じるほど素晴らしい演奏だった。

最後にアフターケアについて。二人とも気さくな方で、ライブ後には気軽にトークを楽しむことができた。しかも、一緒にセッションまでしていただいた(若井さんはベースを弾いてくださった!)。セッション後も適切なアドバイスをしていただき、大変有意義なひとときを過ごすことができた。ぜひまた秋田に来ていただきたいと思う。

この記事を書いたひと

高宮賢

学生