この記事はbird “ そうだ 東北、行こう。” Acoustic Tour 2014のレビューです。
6月15日、試合終了のホイッスルが無情にも鳴り響く。サッカーW杯ブラジル大会で日本代表がコートジボワール代表に逆転負けを喰らった。国民が不安に立たされ肩を落とす中、ここ秋田県は違った。そうだ、bird行こう。秋田市大町にあるSAVINAに、あのbirdがやってくるのだ。
今回は定員70名とされており、前売り券はソールドアウト。当日券も少しなら出せます。と、言った具合、前評判も好調だ。当然、秋田市でのLIVEは初であり、楽しみにされていた方々も多かったに違いない。
会場に入ると、真ん中に椅子が2つ。譜面台が1つ立っていた。お店の窓側や壁にはたくさんの椅子がある。今回のLIVEはbirdを中心にお客さんで囲むスタイルであった。つまり、どこに座ってもbirdが見えるのだ。これも主催者の粋な計らいだったのか。それは僕も分からない。
開演の18時30分を少し回った頃、小柄な女性が中心の椅子へと座る。お団子ヘアーでピンクの衣装を身にまとった、本日の主役birdが登場。今回はアコースティック編成と言う事もあり、birdの他にギターで樋口さんと言う男性が一緒だった。アコースティックギター・ガットギターをバックにbirdのライブは2時間超と、だいぶヴォリューム満点の構成でもあった。初期の作品は打ち込みが多く、クラブサウンド寄りでもあったが、今回は全編アコースティック。あの曲やこの曲がガラリと装いを変え、しっとりとした内容にまとめあげられていた。中盤を迎えた頃だ。ひとりのお客さんが立ち上がった。秋田県のお客さんは恥ずかしがり屋な面があるのか、その方が立ち上がるとみんな立ち上がり、手拍子や声援で会場はとても暖かい空気に包まれた。僕も写真を撮っていたのだが、静かな曲の時に響くシャッター音が気になる程、前半は皆、聞き入っていた。だが、みんなもっと弾けたかったのだなって事が、この会場の一体感で、もの凄く伝わってきた。アンコールでは、birdが聴きたい曲をお客さんへと問いただした。初期の楽曲で「空の瞳」と言うのがある。会場のリクエストはもちろん「空の瞳」だった。birdも小柄な体から発せられるパワフルな歌声はどこからきているのかと思ってしまう程でもあった。曲間のMCでも普段のbirdからは想像できないくらいの楽しい話が出てくる。こんなにしゃべる人なのだな。が、個人的な感想。会場をひとつにする為には演者とお客さんとの心の距離が重要だ。それを、1曲1曲終わる毎に楽しい話で少しずつ少しずつ、狭めていく彼女の話術にも驚いた。これ程まで2時間を早く感じた事は無かった。同じ2時間でもサッカーの前半、早く終わってくれ。1-0のまま終わってくれ。と願ったあの2時間とは対照的だ。
ここに集まった70人のファンは皆、満足であっただろう。笑顔や手拍子、そして一体感がbirdの名曲「BEATS」を思い出させる。そう、会場は全員のBEAT・GROOVEに包まれていたのだ。また、birdが秋田にやってくる日が早くも楽しみである。