はなうた対話集1:青谷明日香

s-青谷明日香

あ~んべいいな あんべいいな

耳に残ってしょうがないメロディーとフレーズで

老若男女問わず秋田中の人々を虜にした青谷明日香。

今や他にも秋田の曲もたくさん手がけ、秋田の音楽イベントには引っ張りだこ。

3枚目のアルバム「冬の神様」も大好評で、春に行われたレコ発記念東北ツアーも大成功。

そんな彼女と音楽とその周りのお話がしたくて、彼女おすすめのカレー屋さんでゆっくり語っていただきました。

 

とくにお客さんに負担をかけずにライブを見てもらいたい

 

―結構前のことになりますがCD発売記念東北ツアーお疲れ様でした。はじめっからMCもなく本気のライブでしたね。青谷さんのライブはトークも面白いというイメージでしたが、会場、雰囲気をみてライブの進め方変えたりするんですか?

 

実は東北でのライブって2、3年前まではすごく難しかったんです。ライブ中お客さんに問いかけても反応がなかったり、怒っているんじゃないかっていうような雰囲気があったりして。
でも終わると話しかけてきてくれるし、CD買ってくれるし。これはお客さんも緊張しているんだなと思って、とくにお客さんに負担をかけずにライブを見てもらいたいなと思いました。

 

―お客さんたちがきいつかいなんですよね。東京から来てくれて疲れてないべかとか、ミュージシャンをリスペクトするあまりすごく身構えちゃう。

 

そうなんですよね、でも今回のツアーは反応があった。ちょっとずつ変わってきている手ごたえを感じました。構えていったらフレンドリーにして来てくれて。みんなが楽しそうだった。みんなにこにこしてるとやりやすいんです。今回は全部の場所がそうでした。

 

―青谷さんが浸透してきた結果ですね。

 

いやいや、ありがとうございます。初日仙台で、今回一緒にまわったベーシストの故郷北上に行ってってその後山形、最終日に秋田というツアーの組み方もよかったのかも。こちらも自然体でいられたし、お客さんたちも思い思いに自由に聴いてくれたし。本当にここ数年で何かが変わってきているという手ごたえがありました。

 

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―そしてアルバムはその東北の冬がテーマですよね。

東北出身を前面に出す、自分のバックグラウンドを作品にするというのはすごく覚悟のいることだと思いますが、この「冬の神様」に込めた思いはどのようなものなのでしょう?

 

若いころは南国の音楽のバンドをやっていたんですよ。その頃は自分や秋田らしさとかは全く考えていなくて、北国の人がもつ南の国への憧れを表現していたというか。きっかけはやはり震災ですね。震災があってからいろいろな場所に行って、何か答えを探そうとする中で、東北の中でぽつぽつっと答えが見つかることが多くて。なんか東北の冬のアルバムを創ろうっていう意識はあまりなくて、気が付いたらそうなっちゃってたという感じです。

そして、こじ付けじゃないけど最後にアルバムのタイトルどうしようと悩んでいるときに、いろいろな人と冬の話をする機会があって、そこから始まる季節感があるからこうだって腑に落ちることが多くて、やっぱり冬の神様にしようと。去年のクリスマスあたりかな、ちょうどそのときインタビューを受けていた方から※1ココラボでやってた精霊の学校の話を聞いて。精霊と冬の神話学のお話。なるほどなと思うことが多くて、やっぱり冬の神様に決めようと。

※1 去年今回ライブ会場でもあったココラボラトリーで開催されたイベント。内容はこちら→http://akita-art-project.net/?p=1184

 

ただのおしゃれなところだと奇跡は起こらなかったりするんですよね。 

 

―なんと、このアルバムは今回会場として選んだココラボラトリーとのそんな繋がりがあったんですね。最近ギャラリーやカフェでライブをやるミュージシャンが増えていますがライブハウスじゃないところでやる意味みたいなものはあるんですか?

 

音楽に特化したイベントもいいけど、違ったやり方を見つけてみたくて。今回も秋田のお客さんに新しい提案ができるんじゃないかと。居心地のいい空間。お客さんで行って帰りたくならない空間。行ってはみても帰りたくなる場所ってやっぱりあるから。

 

―青谷さんは全国各地いろんな空間でやるの慣れていますよね。どんな空間が理想なんですか?

 

理想というか畳のところは面白いです。能登の限界集落の公民館でやったことがあるんですけど。一面畳で子供も走り回れる、おじいさんおばあさんも来られる、いろんな要素があって。本当に心から楽しめるライブで。ただのおしゃれなところだとそんな奇跡は起こらなかったりするんですよね。

それからイベントを主催する人たちの企画力というかアイディアにいろいろくすぐられることも多くて。例えば夏至のキャンドルナイトとかは最近よくあるじゃないですか。九州の主催者さんに面白い人がいて。夏至の日に北欧かどこかでは花の輪っかをつくって夜に枕の下に入れて眠ると好きな人の夢が見られるっていうお話があって、みんなで花の輪っかを創ってからライブしたりしたんですって!どこから仕入れるの?っていうアイディアをいくつも持っていて音楽企画の人たちのアンテナすごい!といつも刺激をもらっています。秋田にもミーハーな感じのしない、音楽を聴いていいなと、いいアンテナを持っている人が増えてきていますよね。間違いない感覚の人がいるのは本当に心強いことです。

 

―みんなで創り上げる音楽空間って理想ですよね。秋田にも増えていったらいいですね。何か一緒にまた企てましょう。そして秋田の曲を作りまくってくださったわけですが、秋田で次にやりたいことや展望みたいなものはありますか?

 

確かに作りまくっちゃいましたね!笑。1個テーマがあるとガッと入って行けちゃう。

でも秋田もまだ知らないことばかりだから掘り下げてみたいこともいっぱいあります。出会ってみたい方々もたくさんいます。秋田の曲だけでアルバムも作れると思うし、秋田の秘境みたいなところを歩いてライブしてまわったり、その土地の民話や語り部の人とコラボレーションしたりしたいですね。

【今後のイベント情報】

9/6 上小阿仁音楽散歩「青谷明日香音楽室ライブ」

9/7 上小阿仁音楽散歩「八木沢音楽祭」

9/7 ハイコーフェス

9/14 TRIP GREEN

 

アーティスト情報

青谷明日香

キーボードかついで街から街へ。旅する吟遊詩人、青谷明日香。 郷愁あふれる田舎の風景から、哀愁ただよう都会のビルの風景まで、 様々な主人公の物語を歌い紡ぐ。 笑いあり涙あり、じわじわと感情ゆさぶるステージで、 じわじわと信望者を増やし続ける。 FUJIROCK FESTIVAL に 2011 年、2012 年と2年連続出演。