はなうたレビュー27:奇妙礼太郎のブギウギツアー in 秋田

この記事は奇妙礼太郎のブギウギツアー in 秋田のレビューです。

hotdog

12月に入ってどか雪も降って心の準備をする間もなく冬という事態に直面し、毎年のことなのに様々な機能が停止しそうになっていた自分に熱さを取り戻させてくれたのが奇妙礼太郎のライブだった。

会場は過去2回と同じく秋田市内のカフェ。ビールとホットドックを頼む。ホットドックのパンがやたらにうまかった。

後ろは立ち見もいるほどのお店いっぱいのお客さん。クリスマスが近い季節柄のせいか、ストレートな愛の歌が多いせいか、お客さんはカップルや夫婦が多いように感じた。恥ずかしくなるような言葉も奇妙礼太郎の歌声に乗せれば妙に説得力のあるメッセージになる。前のライブの時も家族だったり戦友のような友達だったり、終わった後大切な誰かに会いたくなったのを思い出した。

どういう巡りあわせか1回目の時のように選挙カーの音と戦いながらではあったが(その時はその聴こえてくる演説を即興の歌にした)、短い私小説を読み続けているようなライブだった。1曲1曲を歌いきるというかもはや1曲を生ききるという生き様がみえる。でもそれが悲愴感漂うわけでもなく泥臭いわけでもなく、その辺がこの人のバランス感覚のよさであり、ポップさなのだと思った。何かのインタビューで、世の中にいい歌がいっぱいあるから自分で作った曲をわざわざ歌わなくてもいいというようなことを言っていて、自分の叫びを聴いてくれ!的な態度ではなくてすごくシンプルに音楽ってめっちゃええやん!と自分でも再確認しながら歌ってくれているのかなと思った。

途中少しの休憩は挿んだものの、2時間以上もの間人間ジュークボックスのように様々な歌を生ききってくれ、アンコールの中島らもの「いいんだぜ」は圧巻だった。衝撃だった。痛快だった。自分の目も耳も口も毛穴も全部が開きまくっている感覚だった。

 

こんな夜だからすぐに眠りたくなくなくて、日をまたぐほど飲んでしまった。ホッピーを。